折節の感懐

book13

非売品

(book13)

著者:入江 俊雄

昭和五年生れ

元日本報道写真連盟会員

元鳥取地域史研究会会員

元先人研究会会員

 

 

 

はじめに

人は生まれ出ずるにあたっては自らが、その「時代」を選びとることはできない。人は「時代」の産物ともいわれるが、その生まれ合わせた「時代」に助けられることもあれば、その「時代」に翻弄されることもある。だが、歴史をふりかえれば、明治時代が幾多の英雄を生みだしたことにみられるように「時代」が人を育てたとの思いもする。

昭和ヒトケタ生まれの者の「時代」は幼少期から、満州事変に始まる支那事変、大東亜戦争と続く戦時体制の社会状況で「忠君愛国」「滅私奉公」と人間形成の重要な時期を戦時期のなかで送り、青年期は国民の義務として徴兵に応じ兵役に任じなければならなかった。学業優秀な者は、幼年学校、海軍兵学校を目指し、少年飛行兵の「七ツボタンの予科練」などあこがれたものだった。

だが、昭和二十年の終戦(敗戦)を境に、戦後の日本は、勝者による日本占領政策のもとに大きく変容し、戦前の日本はすべて悪とされる洗脳教育を受け、日本の文化、歴史、伝統に対する自信を失ってしまった。「日本の心」を喪失した戦後教育の残滓は、七十八年経た今も続く、昭和から平成・令和と三つの御代を生きてきた者からすれば、戦前、戦中、戦後を体験、知る者こそが物事をいちばん公平に視ることができるのではないかとの自負もある。だが今や日本では戦後生れの世代が人口の八割を超え昭和ヒトケタ世代は続々と退場しつつあり、めまぐるしく変容する社会思潮、風潮のなかにあって、自らのなかで折にふれて湧きおこる心情や思考、抱いた感懐を自己表現の場として県紙、郷土紙でもある日本海新聞のコラム『私の視点』や『散歩道』などを主にして投稿を続けてきたのだが令和四年二月には「一度総理をやらせて見たかった男」といわれてきた石原慎太郎さんが亡くなり、また七月には「戦後レジームからの脱却」を目指し「日本を取り戻す」「美しい国日本へ」と「次の世代のために常に国に対して誇りがもてるようにならないと」と言いつづけておられた安倍元総理が凶弾に斃れられた。

つね日頃から私の敬慕するお二方についての投稿が掲載となったのを機に、ここでひと区切りをつけ冊子にまとめてみることにしたのが本書である。

入 江 俊 雄

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